MiniLab成膜モジュール
抵抗加熱蒸着 - Thermal evaporation
原理
真空蒸着(抵抗加熱蒸着 Thermal evaporation 以下'TE')
抵抗加熱蒸着とは、金属、酸化物など成膜対象となる基板面に成膜させる材料を高温で蒸発・昇華させ、基板面に付着堆積させる方法です。最もシンプルで歴史が長い手法で、ボート・バスケットなどの形状に加工されたタングステンやモリブデンなどの高融点金属フィラメントに通電加熱すると(「通電加熱型ソース」)、融点の低い材料は高温蒸発します。
高真空
真空蒸着において「高真空」環境が不可欠です。残留物分子・不純物を除去し、蒸発・昇華した粒子(原子・分子)が十分な平均自由行程を確保させるために高真空であることが重要です。
蒸発温度制御
ソース材料が化学分解せず適正な蒸発特性を得るために、通電加熱する際の温度制御は慎重に行わなくてはなりません。又、基板側の温度管理も膜質、付着性に影響があり、基板加熱ヒーターにより密着性向上の効果が得られる可能性もあります。
蒸着レート
通電加熱電力の制御が、膜厚と均一性に影響を及ぼします。
MiniLab TEソース
MiniLabの抵抗加熱蒸着ソースは、材料が散乱しない様ソースカバーに指向性を持たせる開口部(アスペクト比 4:1 → *調整可能)を工夫しています。
*開口部形状は装置・チャンバー仕様ごとに異なります。
TEコントローラーは高真空中で、温度制御精度±1℃で精密にコントロールできる様設計されております。
対応機種
- MiniLab-026
- MiniLab-060/070
- MiniLab-080/090
- MiniLab-125
マグネトロンスパッタリング - Magnetron sputtering
原理
マグネトロンスパッタリング Magnetron sputtering
マグネトロン放電を利用したスパッタリング方法。現在では最も普及されており主流とも言えるスパッタリング法です。ターゲット背面に配置された磁石による磁場と電極側のマイナス電圧によりターゲット表面に電解を形成します。この電解によりターゲット表面に円弧上(ドーナツ状)に囲い込まれた高密度の電子領域が形成されます。高密度電子とArガスとの衝突によりArイオンが加速しターゲットへ衝突、放出されたターゲット材料が基板に付着して薄膜を形成します。
プラズマ電源
・DC電源:直流電源を用い安定したプラズマを得ることができます。シンプル、コストパフォーマンスが良い、などの利点がありますが、金属・導体ターゲット材の使用に限られます。
・RF電源:高周波電源(主に13.56MHz波長帯)を用い、導体・絶縁体などの種類を問わず様々なターゲット材をスパッタできるのが最大の利点ですが、DCと比較し成膜速度が遅めであることが特徴です。
材料、開発目的に合わせてどちらの電源が必要か選択が重要となります。
MiniLabマグネトロンカソード MAG
RF, DC, PulseDC兼用, Φ2inch, Φ3inch, Φ4inchサイズ, 傾斜アングルヘッド, ガスインジェクションノズル, などのオプション有り。
MiniLabのシステム構成に合わせたカソードを採用しています。
*MAGシリーズに関してはこちらを参照ください。
対応機種
- MiniLab-026
- MiniLab-060/070
- MiniLab-080/090
- MiniLab-125
有機蒸着 - Low temperature evaporation
原理
有機蒸着(Low temperature evaporation 以下'LTE')は、50℃から600℃以下の低温で蒸発昇華する有機材料(OLED、OPV、PFET等の有機太陽電池材料に用いられる材料)を蒸発させるソースです。
MiniLab LTEソース
1cc、又は5ccのるつぼ周囲にタングステンフィラメントがコイル状に巻かれており通電加熱しるつぼ内の材料を蒸発させます。LTEコントローラーは温度制御精度±1℃、熱電対は透過石英(又はアルミナ)るつぼにスプリングロード式で直接接しており、熱損失やオーバーシュートが無くレスポンスが早く正確な温度制御ができます。SUS製シールドケースと、セラミック製プレート開口部(アスペクト比 4:1)は工具無しで取り外し可能。るつぼ取り外し、材料の補充等の作業が容易に行えます。
*LTE1に関してはこちらを参照ください。
対応機種
- MiniLab-026
- MiniLab-060/070
- MiniLab-080/090
- MiniLab-125
電子ビーム蒸着 - E-beam evaporation
原理
他の加熱蒸着法では蒸発が難しい高融点金属などの材料にも使用できます。アルミナやカーボンなどのるつぼ内に蒸着材料を入れ、電子ビームを材料に照射し蒸発させます。MiniLabでは偏光型電子ビーム銃を採用、フィラメントに通電加熱し放出された電子ビームを270°偏光させ材料に照射。コントローラーでX-Y軸方向に照射位置を微調整します。1台の電子ビーム銃で複数のるつぼをセットできますので、連続多層膜も可能。
特徴
・他の成膜法と比較し成膜レートが早い
・抵抗線フィラメント自体が含む不純物の混入が無く、純度の高い成膜ができる
・電力密度が大きい為、あらゆる材料を蒸発できる
などの利点があります。
MiniLab電子ビームるつぼ(マルチポケット 回転セレクタ)
- 7cc x 6ポケット
- 4cc x 4ポケット
- 4cc x 8ポケット
対応機種
- MiniLab-060/070
- MiniLab-080/090
- MiniLab-125
CVD - Chemical Vapour Deposition
原理
熱CVD法(Thermal - Chemical vapour deposition)は、CVD(化学気相成長法)の一種であり、熱エネルギーによる様々な原料ガスとの化学反応を利用した成膜法です。高温で成膜する為、膜密着性が良い、カバレージが良いのでトレンチ構造にも成膜できる、膜の成長速度が早い、などの利点が挙げられます。
MiniLabプラットフォームの「nanoCVD-WG」は熱CVD法を用いたグラフェン合成装置です。原料ガス4系統、Φ3inch, Φ4inch加熱ヒーターステージ(1100℃)を採用した「コールドウオール式」熱CVD装置となります。
又、プラズマCVD法を用いた「nanoCVD-WGP」もあり、基板への熱ダメージがない低温プロセスにより高速で純度の高いグラフェンを合成することができます。
対応機種
プラズマエッチング - Plasma etching
原理
気体にエネルギー(電荷)を与えると自由電子が加速されて原子・電子に衝突、気体の原子・分子が分離しマイナス電荷の電子とプラス電荷を持つ正イオンに分離させることでプラズマが発生します。MiniLabで採用するプラズマエッチングは2種類、基板表面改質・クリーニング・親水性 密着性向上目的のRIE(反応性イオンエッチング)によると、Moorfield社独自技術の「ソフトエッチング」です。
ソフトエッチング
ソフトエッチングは、2010 年に「炭素新素材グラフェンに関する革新的実験」でノーベル物理学賞を受賞したマンチェスター大学のA. ガイム博士率いるグラフェン研究チームとMoorfieod社との共同開発技術です。30W程度のローパワーデバイスで、エッチング電力制御精度10mWの精密な制御をします。
2D グラフェンなどの非常に繊細で脆い材料、PPA, PMMA等のレジスト除去、グラフェン配線パターン形成など多数成果を得ております。
SF6, CHF3エッチング
フッ化ガス供給モジュールを搭載するnanoETCH, MiniLab-026では、SF6, CHF3等のガスにより,h-BNサイドウオール除去(130nm - 1.1nm/sec rate)、SiO2エッチング(~1.3 Å/sでのスローレートによる繊細なエッチング)などの実績がございます。
*ソフトエッチングに関してはこちらを参照下さい。
ソフトエッチング対応機種
- MiniLab-026
- nanoETCH
RIEエッチング対応機種
- MiniLabシリーズ全機種(メインチャンバー, 又はロードロックチャンバー)
熱処理 - Thermal processing
概要
真空薄膜プロセスでは多数の基板熱処理用途があります。MiniLab, 及びANNEALの熱処理ユニットは、特に高真空中で高精度で圧力管理されたプロセス環境での使用に適しています。
ヒーターバリエーション
- ハロゲンランプヒーター(500℃)
- C/Cコンポジットヒーター(1000℃)
- SiCコーティングヒーター(1000℃)
対象機種
- MiniLab全機種
- ANNEAL